先日組み立てた郵便受けに絵を描きました。普通なら組み立てた段階で完成なのですが、それでは面白くありません。道具は使うたびに楽しく、愛着を感じさせるものでありたいと思っています。初代のポストもそんな思いで作りました。

板の木地はそのまま木目を生かした自然な感じにしました。正面中央に郵便マーク。マークの意味はチコちゃんでやっていたかと思いますが、郵政民営化の前、郵政省でしたが、その前身である逓信省が郵便を扱っていました。一番始めの文字「テ」をデザインしたのが今に至っているわけです。いまもあるのか知りませんが丸の内に逓信博物館というのがありました。

郵便受けの屋根には初代郵便受けからの絵を踏襲してタンポポの絵です。拙い絵ではありますが、気持ちを明るくする絵、そして配達してくれる方への一服の清涼剤のつもりです。正面下に木の葉の絵を描きました。Buche(ブーヘ)とはドイツ語でブナのことです。葉っぱはブナの葉をデザインしました。なぜブナかと思うかも知れません。ドイツ語で本、書籍のことをBuch(ブーフ)といいます。文(ふみ)という意味もあるようです。むかし、ドイツも日本もブナの幹に切りつけて文字を書いていました。ブナと文字は昔から深い関係にあったのです。しかし、日本では「ブナ」という名前と「文」との間には何の関係もありません。しかし、ドイツでは先に示したようにブナを”Buche”、書籍、文を”Buch” 。両者は文字の上でも密接です。郵便受けのマスコットイラストには最適ではないかと思う次第です。ヨーロッパでの起源は古代北欧にさかのぼるようです。中国、日本でも木簡の歴史があります。

初代郵便受けはもう15年くらい使って絵も塗装も剥げてしまいました。いままでの仕事に感謝して絵を描き直しました。最初の絵とは違いますがこちらは同じ塗料ですが、水彩画風にしてみました。この絵を描き終わってこの場所に置いたらその瞬間、蝶が黄色いタンポポの絵の上に止まろうとしました。すぐに失敗したことに気づいて飛んで行きましたが‥。蝶は真っ先に働く感覚が匂いではなく”色”だということが改めて確認できた”おまけ”がありました。